年齢による違いは? 

行政書士の試験は、受験の際に年齢制限がありません。70歳を過ぎている、世間ではとっくに引退していてもおかしくない世代からも毎年のように合格者が出ていますし、理論上は小学生であっても受験可能です(もちろん開業するとなると、未成年では合格していても登録ができませんからしばらくおあずけになりますが)。

とにかく大事なことは、行政書士の仕事は何歳からでも目指せるということでしょう。学生が若いうちから目指すのもいいですし、もう普通の転職が難しい世代から、開業を目指すのもいいことです。

とにかく、年齢の縛りがないことはありがたいことです。しかし行政書士で開業してからは、年齢の影響を受けることも往々にしてあるようです。

・20代のような若年層の場合
社会人経験が3年以上あればだいぶ違いますが、まず社交マナーや一般常識の面で後れを取るケースがあります。自信がない場合はどこかで、マナー研修等を受けておきたいところです。もちろん、若いことで「経験が少なさそう」などと色眼鏡で見られることはあります。

・30代~40代のような年齢層の場合
行政書士の合格者の中では多数派だといえます。ただし、開業に失敗してももう20代までと違い、やり直しが難しくなっていることを意識して行動する必要はあります。独り身であればまだいいですが、家庭がある場合は特に責任もありますから慎重さも行動力も両方求められるでしょう。また、行政書士として軌道に乗るまでの道のりを考えると、開業後1~2年くらいはやっていけるくらいの貯えは持っておきたいところです。 依頼人からは、年齢を理由に不利益をこうむることは比較的少ないですが、その分じゅうぶんな能力があるものと最初のうちから期待される傾向も強くなります。しかし最初のうちはいろいろと話を聞きながら仕事を覚えていかないといけない立場でもあり、早めに仕事に適応していかないといけません。

・50代以上の、シニア層と呼べるような年齢層の場合
昔からこうした世代の開業者はいて、珍しい存在というわけではありません。特に近い世代の依頼人からは、安心できそうだと思われることも多い反面、もう若くないという理由から敬遠されることもあります。特に「フットワークが軽くなさそう」「電子申請や、IT関係の仕事は頼めなさそう」といったイメージを持たれやすいことも否定できません。新しいことにどんどん貪欲に取り組んで吸収していく姿勢をなくさないことが重要でしょう。

いずれの年齢でも、明確な戦略を立てて、実績を積んでいくことは共通して大事ですね。そのあたりを誤解せずに、開業後の活動方針を考えていくべきでしょう。

行政書士という職業は、どんな人にも門戸が均等に開かれている点が何よりも特筆すべき特徴ではないでしょうか? 

受験するときに条件がないという意味では、性別ももちろん例外ではありません。依然として女性の受験者数は男性のそれに比べて差がありますが、もちろん女性であっても基本的に不利な立場に立たされることはありません。もともとこの仕事はデスクワークが中心であって、筋力やスタミナが必要な仕事ではなく、女性が男性に伍してこなせて当然なのです。

つまり、女性だからと言って特に気を付けたほうがいいこともほとんどありません。あえて付け加えることがあるとすれば、以下のようなものがあるでしょうか。

・依頼人が、何らかの理由で男性に頼みたいと考える場合
これは悪く言えば、先入観や偏見に支配された考え方だと定義してしまうこともできそうですが、そんな単純に決めてかかれるものでもありません。たとえば、行政書士の世界をよく知らない依頼者が、風営法関係のような書類の作成依頼を出すときの「なんとなく女性には恥ずかしくて話しづらい」といった先入観を抱いてしまうことはあるでしょう。しかし、実際にはそのような業務を専門分野にしている女性行政書士もザラにいる時代ですし、あまり気にせずどんどん集客や業務開拓に精進してしまったほうがいいでしょう。

※しかし逆に、女性であるがゆえに得をすることもありますね。たとえば「離婚関係の書類作成を頼みたい女性が、女性行政書士を熱望する」なんてこともよく起きているのです。

・主婦の場合の注意点
主婦であっても行政書士という仕事はじゅうぶんにやっていけますし、また主婦というほどではなくても、「子供が小さい間は家庭を優先しながら仕事をする」といったやり方で成功している例も多いです。ただし、依頼人に誤解されないようにすることは大事でしょう。自宅開業者にも共通する悩みですが、依頼人の前で家庭や自宅の気配をつい漂わせてしまうと、「主婦が家事や育児のついでに、仕事をやっている」といった一方的な誤解をされてしまう恐れがあることは否定できません。さりげなくでかまいませんが「仕事に関しては、引き受けたらあくまでもきっちりと遂行する方針です」というアピールをすることも、往々にして必要になる可能性はあります。

行政書士として開業したら、どんな人でも大切なことは、「どのようにして仕事を手に入れていくか」です。試験に合格する前から、「ああいう方面の仕事を、受かったらやっていきたい」と感じることはあっても、合格までは試験のことで頭がいっぱいになるのが普通で、なかなか開業後の仕事の取り方まで考えられなくても無理はありませんね。

しかし、開業したらすぐにでも、どうやって仕事を確保していくのか考え続けないといけません。合格者は毎年確実に増えていきますし、そのかたわら廃業する人も毎年たくさん出ているはずです。ここでは、基本的な方法のいくつかを取り上げておきます。これらを組み合わせて、じゅうぶんな数の仕事の確保を実現しましょう。

・他の行政書士や士業関係者のコネクション
行政書士の研修会ではいろいろな行政書士と接触する機会があります。また、開業したら近隣の同業者の事務所や、他の士業の事務所にあいさつして顔と名前を覚えてもらうという手もあります。たとえば「他の行政書士の手が回らないとき、あるいはやらないことにしている案件を依頼されたときに、回してもらえた」というケースは昔からあるものです。

・近隣の商工会や、異業種交流会等へ顔を売る
もちろんこれ以外の組織やイベントでも構いませんが、こうしたところであいさつしたり名刺を配ったりして、顔を売る努力をやった経験を持つ現役行政書士は少なくありません。

・Webの利用
現代では、インターネットという文明の利器があるため、自己宣伝はだいぶ簡単になりました。こんな便利なものを使わない手はありません。
きちんとしたホームページを用意しようとすると、まとまった費用がかかりますし、それを運営していくだけでもさらに費用と手間が発生することは事実です。開業してすぐには酷かもしれませんが、ブログやFacebookといったソーシャルツールであれば、比較的楽に運営していけますから、開業当初からでもやったほうが得策でしょう。
※この手の方法は絶えず技術や方法論が進歩しています。常に勉強や情報収集を欠かさず行い、どんどん新しいテクニックを取り入れていくことも忘れないようにしたいものです。

さて、行政書士試験に合格しても、行政書士業務については全くの素人である人は多いものです。でも、「最初はみんな素人だよね」という言葉は、行政書士同士の会話では成り立つものであっても、お客さんに対しての言い訳にはなりません。

行政書士の扱う書類は、基本的には、知識と時間さえあれば、お客さんが自分で作成できてしまうものです。

一般の人がこれから起業しようとする場合、会社設立の書類は、自分で作成することができます。会社の業務の許認可更新の手続き書類も、社内の事務職の人が作ることができます。こうした書類は、本を読んだり、ネットで調べたりすれば、自分でできてしまうのです。

そのような書類を、わざわざお金を支払って、行政書士に依頼しようとする人は、どのようなメリットを求めているのでしょうか?

まず、そこそこのお金を持っているけれど、時間がない人が想定されます。自分で書類を作成しようとすれば、結構な時間がとられます。一見、簡単に見える書類でも、やってみると、一筋縄ではいかなかったりします。

また、自分で何とか書類作成はできたけれど、「何か足りない点があるかもしれない」「後になって、問題点が出てきたらどうしよう」と不安になり、「やっぱりプロにやってもらおう」と思って、行政書士事務所に駆け込むこともあるでしょう。

このようなお客さんは、行政書士に、スピードと専門性を求めます。

ですから、仕事を依頼したものの、2週間も1ヶ月も放っておかれれば、依頼を取り下げるかもしれません。また、いろいろと質問しても、しどろもどろの返答しか返ってこなければ、そのお客さんは二度とその行政書士を利用しようと思わないでしょう。

ですから、行政書士事務所を開業するときは、自分が看板にかかげた業務については、いつ仕事がきても大丈夫であるように、準備をしておく必要があります。まちがっても「仕事がきてから勉強しよう」などと思っていてはいけません。

次に、行政書士事務所を開業する際に、専門分野に特化することのデメリットについて、考えてみましょう。

まず、専門特化すればするほど、見込み客は限定されていきます。例えば、許認可に専門特化した場合、見込み客は、新規に開業する顧客や、新しい分野に手を広げようとする顧客、または許認可の更新をする顧客に限られます。つまり会社や個人事業の経営者に限られ、一般の個人客は顧客にできないことになります。

専門特化しないで開業した場合は、知り合い全員に名刺を渡したりハガキを出したりして、「こういう仕事を始めました。何かやることありませんか?」と営業をすることができます。見込み客数が多ければ、特に最初のうちは、仕事が取りやすいでしょう。

しかし、専門特化している行政書士事務所を開業した場合、見込み客になりえない人には「あ、うちには関係ない人だね」と思われがちです。そのまま名刺を捨てられ、忘れられてしまう場合も多いかもしれません。

また、専門特化した行政書士事務所の場合は、好景気不景気の影響を比較的受けやすいとも言えます。一般に、行政書士という仕事は不況の影響を受けにくいとも言われていますが、それでも全く影響がないわけではありません。会社設立、許認可、会計記帳といった会社相手の業務は特に、不況のあおりを受ける事が多いのです。

更に、「建設業の許認可」といったように、業種まで絞り込んだ場合、もしその業種自体が大きな不況に見舞われたときには、全く仕事がなくなるといった危険もあります。

また、特化しすぎると、その分野の動向いかんでは、業務自体が成立しなくなる懸念すらあります。

例えば、「うちの行政書士事務所は会社設立専門!他の業務は一切しません!」という事務所の場合、もし会社設立の手続き自体が、行政の都合で、非常に簡略化されるようなことがあった場合に(既にかなり簡略化されてはいますが・・)、仕事が激減する可能性もあることも、考えておかなければなりません。

こうしたリスクも考えると、対外的には専門特化事務所として営業するとしても、他の分野の業務も少しずつ受託し、全般的な知識をつけておいた方が、事務所を営業するという観点では安全だと言えるでしょう。

行政書士事務所を開業するときに、何らかの専門分野を選び、その分野だけに特化して、開業するという方法があります。

この方法のメリットは、何といっても仕事がとりやすいということです。特に、都市部の行政書士数が多い地域で開業する場合は、この方法が推奨されることが多いようです。

一般に、何らかのニーズがあり、(行政書士に限らず)何らかの業者を探す人は、そのニーズに特化した業者を選択しやすいものです。

例えば、飲食業を開業しようとしている人が、飲食店の許認可業務をしている行政書士を、インターネットなどで探していると考えてみましょう。

この人が、「各種許認可、相続、入管、離婚、成年後見」等々を幅広く扱っている行政書士Aのホームページと、「当事務所は許認可専門!それも飲食店許認可のプロです!」と宣伝している行政書士Bのホームページを見つけたとしたら、おそらく8割方、B行政書士を選ぶでしょう。

なぜなら、この人は、「行政書士資格のある人」を探しているのではなく、「許認可のプロ」を探しているからです。そもそも、許認可の申請は、行政書士に頼まなくても、この人が自分でできないことはないのです。しかし、面倒な事務仕事を避け、スムーズに、確実に、許可を取ってもらうために、行政書士に仕事を依頼しようとしているわけです。ですから、B行政書士の方が、そうした人のニーズに訴求しやすいのです。

もし、この人が、それでもA行政書士を選ぶとすれば、それは「A行政書士の方が料金が破格に安い」「A行政書士の事務所が、開業しようとしている飲食店の至近距離にある」「A行政書士と、個人的な知り合いである」などの、付随的な理由のためでしょう。そして、そうした付随的理由は、なかなか出てくるものではありません。

また、専門特化すればするほど、業務に関する勉強はしやすくなります。あれもこれもと数多い分野を扱っていると、どうしても法改正や制度の変化についていけなくなりがちです。しかし、専門特化してしまえば、その行政書士が最低限網羅すべき分野が限られるため、業務関連の知識が洗い替えしやすいのです。

行政書士試験に合格して、「やった!さあ、開業するぞ!」と思っていらっしゃる皆様、まずは、おめでとうございます。

さて、あなたは、行政書士事務所でどんな仕事をしますか?

行政書士事務所を開業するとき、大きく分けて2つの方法があります。それは「専門分野を特に絞らず、行政書士業務全般を仕事にする方法」と「何らかの専門分野に絞って、それだけに特化して仕事をする方法」です。

どちらも、メリットとデメリットがあります。

前者の、行政書士業務全般を仕事にする方法は、行政書士事務所の看板や名刺に、「会社設立、許認可手続、入管手続、相続手続、車庫証明、会計記帳・・・」と、一般的な行政書士業務を連ね、多くの見込み客を対象に、幅広く営業をするものです。

この方法のメリットは、見込み客の数が多く、誰に対してでも営業が可能であるということです。会社設立や許認可手続きというものは、相手が事業経営者でなければ顧客にはなりませんが、相続手続きや車庫証明は、誰もが顧客になりえます。極端な話、会う人ごとに、何らかの営業ができることになります。

地方の小都市などで、行政書士数が少ない地域であれば、この方法をとるのがよいかもしれません。立地のよい駅前や役所の近くなどで開業し、堅実に仕事をしていくことで良い評判ができれば、バランスよく色々な業務が入ってくることも十分考えられます。そうすれば、様々な仕事をこなし、多方面の知識を持つ、いわゆる「街の法律家」という行政書士本来の姿が実現できることになります。

しかし、この方法には、デメリットもあります。手広く仕事をするということは、専門性の薄さに繋がることが多いのです。

この方法で開業する場合は、都市部の行政書士数が多い地域では、顧客がとれない可能性がかなり高くあります。都市部では、人口も会社数も多く、それに比例して行政書士業務数も多いものですが、こうしたところでは既に開業している行政書士数も多く飽和状態になっているケースが多いため、何の特色もない新規の業者が参入しにくいのです。





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